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アグレッシブデザイン誕生までの道のり
アグレッシブデザインの母体である株式会社和光ケミカルはWAKO’Sブランドの業務用潤滑油・ケミカルメーカーであり、BtoB(企業間取引)がメインのため、その多くは業務用として使用され、販売店で消費者が購入する割合はわずか。商品は、プロが使い業務の収益に直接影響があるため、プロの目でシビアに見られ、価格以上のメリットがない限り受け入れられない世界で使われている。
一見「何故、和光ケミカルが?」とも思えるこのチャレンジには、実はそれまで業務用商材を開発・提供しトップシェア獲得に至った「軸となる考え方」が共通の理念として根底に流れている。その考え方とは、「共存共栄、環境と性能を両立すること、現場のニーズや欲求をつかむこと」である。
また、体力が衰える年齢になっても力を発揮できる環境を創ることが求められてくる」さらに、「会社が存続する上では、モノを売って収益を上げるだけではなく、社会から必要とされる要素が必須である」との訓示があった。
ここから内部、外部環境を精査し、様々な経営者からも助言を受け、現場を調査確認し、数年の紆余曲折を経たのち、「人々の心身を健やかにすることで世の中を元気にし、その結果収益を得る仕組みをつくろう」というアグレッシブデザインの構想はスタートした。
当時、自民党の谷垣元総裁が自転車に乗っていることが話題になり、マクドナルドの元CEO原田氏をはじめ、多くの経営者がトライアスロンをやっており、「経済を回している(=景気の良しあしに影響を与えられる)方はアクティブに過ごしている。日本を元気にするのであれば、モノを売って元気にするよりも影響力のある人を元気にした方が早いし効率が良い」とも考えられた。
そのためには機材のパフォーマンスを上げるよりも、疲れをものともしない健やかな身体を作ること、身体のパフォーマンスを上げる製品や仕組みを作った方が面白い。
「潤滑油の性能はすごく良いですよ。でも、個人的にはそれ以上に『ほんとに焼けない日焼け止め』が欲しいんです。」
彼曰く、
「日焼けで疲れが溜まるんです。今ある日焼け止めは汗で流れてしまう。また、肌が弱いので日焼け止めを塗るだけですぐに赤くなる。何とかなりませんかね?」
業務上、化粧品の原料や情報は優先的に手に入るし、パートナーシップを結べる相手は多数に上る。「これは面白い」。日焼け止めに大きな可能性を感じた瞬間だった。
だが「コンシューマー向け」というこれまでのビジネスとは全く違う畑。薬機法の順守が必須となることを踏まえ、既存の営業ルートで流通させるのには無理がある。仮に、強固に確立された既存の営業ルートで流通させればすぐにでも大きな実績は見込めるものの、会社の方針である「新しい販路」にはならない。また、かたくなに業務用として企業間取引を貫いているWAKO’Sルートにコンシューマーブランドを流すことに矛盾が生じる。しかし、ゼロから販路を築くとなると、おのずと目の前の実績から目を背けることになる。これらを鑑み、川邊は「夢を見ようじゃないか」という言葉と共に、アグレッシブデザインの構想にゴーサインを出した。
その後、開発チームが立ち上がり、先のアスリートたちとの共同開発を経て、自転車を通じて企業と商品のPRを行うことを目的に2013年暮れに立ち上がった「サイクルスポーツ事業部」での専売品として、2015年9月にアグレッシブデザイン「ファイター」と「クレンジングオイル」の販売が始まった。
それから間もなく、事業部として独り立ちできる環境を整え、2016年3月に「アグレッシブデザイン事業部」が産声を上げた。
業務用ケミカルメーカーとして長年プロの要求に応え続けてきた「創業以来変わらない理念」から生まれた、新しい発想と未来に向かうチャレンジがアグレッシブデザインなのである。
技術の粋を集めたスタートアップ商品